咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A 第12局「約束」 感想
いよいよAT-Xにて阿知賀編第13局が放送されました。
ということで随分間を開けましたが第12局の感想記事です。
何回見ても面白い回なので、このブログを読んでもう一度見なおしてもらえれば幸いです。
アバンは怜の中学時代の回想。
セーラはこの後特待で千里山女子に「セーラー服を着なくていい」という条件で入学します。ということは怜と竜華は一般入学で千里山女子に入学したということですね。
セーラのインターミドルでの活躍は語られませんが、同じ関西の姫松で3年の愛宕洋榎も全中で大暴れしたそうなのでもしかしたら二人の対決とかがあったのかもしれません。
千里山女子に入学した3人を迎えるのは麻雀部顧問愛宕雅枝。姫松の愛宕姉妹とは母親か何かの関係でしょうか。怜が「おぉ、本物や」というくらいに有名人みたいです。
この春に愛宕姉の洋榎が、翌年妹の絹恵が姫松高校に入学しますが、これは意図的に雅枝を避けているのでしょうか。特待で入った洋榎とそれに憧れて一般で入った絹恵の関係は、特待で入ったセーラとそれに憧れて一般で入った怜に似てますね。
練習試合の結果セーラは補欠、竜華も一軍に。セーラはレーティングではスタメンメンバーに劣る(R:2004)もののトップ率の高さ(0.321)が光ります。
この時点で船Qは入学していませんが、タブレットを使うのは千里山の伝統なのでしょうか。そういえば船Qは雅枝を「オバチャン」呼ばわりしてましたけど、こちらの関係の方も謎です。
一方の怜は三軍。それでも自分なりにチームへ貢献しようという姿勢を見せます。
この頃の怜は明らかに今と比べて真っ直ぐで素直に見えます。竜華もセーラも(そして船Qも)一軍・スタメンで活躍するようになった後も怜と麻雀を打ってくれるのですが、怜のほうは5話冒頭の二年生夏の回想を見る限り明らかに冷めてしまっています。
回想を経て三巡先発動。
退院して能力に目覚めエースとして活躍するようになっても打倒白糸台に燃える竜華やセーラと比べどこか冷めていた怜でしたが、セーラの無念のエピソードを聞いたりみんなのサポートを受けたりして、ついには自分の限界を超えて勝利に貢献するように。阿知賀編のエピソードの中で一番「成長した」(取り戻した?)のは怜でしょう。主人公言われる所以。
さてここで場を整理します。南四局三本場、親はチャンピオン宮永照。ドラは三筒。
照の打点制限は18000点(六翻の跳満)以上。ドラなしではリーチはもうほぼ必須でしょう。
◆怜
三巡先発動時(四巡目のツモ)の怜の手牌はこんな感じ。なお、怜はこの発動では改変を行いません。
前順に六筒を切っており七八九の三色狙い。ここで四萬を切ってチャンタやジュンチャンも狙っていきます。
◆玄
二萬を切って二筒・三筒・六筒・四萬・七萬待ちの一向聴です。残した發は生牌。
◆照
筒子のホンイツ志向の一向聴。北は既に二枚捨てられています。当然四萬切り。
◆煌
怜と同じくこちらもチャンタが見えます(一筒・九筒を切っているのでホンイツも最初は視野に入れていたかもしれません)。六索切りで狙いをより明確に。
◆怜
ちょっと見えづらいですが他の捨て牌シーンなどから推測。
白をツモってチャンタが見える手に。七索を切って二向聴。
一巡先能力だと、この七索を切って鳴かれなかったところまでが見えます。
◆玄
赤五筒をツモってドラ6一向聴。發切りで待ちに一筒・四筒が増えました。
發を持って逆向きに捨てるというこの何気ないCG。牌の向きを相手から見やすい方向に置く、玄専用のモーションかと思われます。
◆照
五筒をツモって早くもテンパイ。打点制限を超えるために四筒切りでリーチをかけます。
あとですこやんの解説が入りますが、四筒切りのリーチだと待ちは五筒・八筒の両面待ち。八筒切りでリーチをかけると北・三筒・六筒の三面張でこちらのほうが一見待ちが広そうに見えます。しかし北は2枚・六筒は一枚場に出ているのでもう山にはなく、三筒は出ていませんがドラなので玄にしか来ません。五筒・八筒は一枚も出ていないので手牌から除いた6枚(赤五筒を除くと4枚)が山に残っている四筒切りが本来なら正解ということですね。
役は中メンホンリーチで五飜しかないように見えますが、五筒でも八筒でもイーペーコーがつくので六飜になり打点制限はクリアです。ちなみに前述の八筒切りリーチだと三筒・六筒和了りなら三暗刻がつきますが北和了りにはつかないので、北に関してはツモ和了縛りという微妙な制限がありました。
◆煌
ツモや手牌の描写はありませんが、捨て牌が一筒なのでツモ切りでしょう。
一筒は照の四筒切りリーチのスジですが染め気配(一筒・一索・三索を切ってからの西切り)が河から見えるのでちょっと怖い。現物の一索ではないということはまだオリてないんですね。
◆怜
八萬ツモで白切り。二向聴は変わりませんが三色とチャンタが遠のくのでこれはオリ……というより他家のサポートに回るということでしょうか。
白を煌がポン。二巡先の発動ならこのポンまでは見えていますが、煌が何を切るかまでは見えません。
◆煌
白のポンから現物の一索を処理します。照の一発消しも兼ねていそう。
まだ二向聴ですが鳴いて安目を作ることはできそうな手です。
◆怜
再度の三巡先発動。若くして真理に到達したな。
演出のカッコよさもさることながら、その後のポンやツモなどの展開を描写しないで済むので、これからどうなるかを視聴者に分からせないまま進めることができます。
未来予知とは言ってしまえばネタバレなわけで、それを回避しつつ怜の覚醒をカッコよく描くこの演出は、練りに練られた屈指の名演出だと思います。
ここから先は玄の出番。それゆえ怜の手牌が描写されず何をツモったか確定できなかったのですが、その後の捨て牌・ツモ切りではない点・終局時の手牌(コミックスにより判明)から五萬のようです。切る牌は五索と危なそうなところですが、三巡先を見ることにより安牌であることは判明しているので問題なし。
◆玄
四筒をツモりテンパイ。三筒切りならタンヤオ平和イーペーコードラ5の八翻倍満の大物手。しかし三筒はドラ。
ドラ切りを躊躇してスジの二索切り。その後の憧達の会話にある通り三索や四筒なら現物の安牌です。しかし玄はドラ、つまり赤五索が来るので二索を切ってもあまり障害になりません。つまりまだオリてません。
宥姉の飲み物、お茶になりました。
◆煌
玄の二索を煌がポン。照の手番飛ばしですね。
切った一萬は現物。この切り動作の構図、カッコいいです。
◆怜
五萬切りも予知で安全であることを確認済み。ここまで改変は行なっていません。
◆玄
やはり赤五索が来て再びテンパイ。ここで回想に入ります。
玄の母親。「ドラを大切にしなさい」と教えた人。
髪の毛の色は玄と同じですが、目の色は宥姉の緑色。というか松美姉妹が姉妹の割に違いすぎるんですね。宮永姉妹も愛宕姉妹も配色はあまり似ていないのでそういう世界観なんでしょうか。
アイキャッチの効果音は第1局・第11局と同じながら、背景は明るい桜のイメージ。効果音にこの音が使われるときは和や玄母など、阿知賀の過去が関係してるのかもしれません。
松実は「待つ身」、ドラと一緒に仲間を大切にするって考察を最初に見たときは感心したんですが、公式設定になりました。
この「別れることはよくあることで、私は慣れてるはずだったんだ」というセリフが大好きで、語感もいいので咲合作でどうにかして使おうと思ったんですが流れに合わなくて結局諦めてしまいました。
この二人が抱きあう構図、どこかで見たと思ったんですが第5局の先鋒戦終了後でした。普段はこうやって玄が宥のことを励ましていたんですね。
リーチは来た牌が和了牌でなければ必ず捨てないといけないので、ドラが来るけど捨てられない玄にとってリーチはあまり馴染みのない役です。ドラを切るだけでなく、リーチをかけるというのも玄の決意の表れですね。
◆照
随分長い間ツモを飛ばされた照ですがこれがリーチ後初のツモ。しかし玄の決断に場の支配力を奪われたのか、スクリューは消えツモも和了り牌ではなし。
すこやんの「人は予想を超えてくる」も語感のいいセリフなのでどこかで使いたい。
◆怜
照の八萬を怜がポン。
怜は三巡視で「八萬をスルーし、次の南を煌がツモり、その次の七萬で怜が玄に振り込む」という未来が見えています。それを八萬ポンで改変。
単に自分が振り込まないようにするだけなら玄の当たり牌以外を捨てればいいのですが、あえてポンしてツモ順をずらすことで、玄を利用し照に一撃を与えようと操作します。チームの単純な勝利のためではなく、竜華とセーラの打倒白糸台を果たすための改変です。安牌の白を取っておいたのも、未来が分からないここで照に振り込まないためでしょうか。
トリプル発動→トリプル再発動ではなくダブル発動→ダブル再発動だと阿知賀に自分が振り込むことはもちろん、玄がドラを捨ててリーチをするところも見ることはできません。限界を超えてトリプルに挑んだからこそ。
ちなみにここで流れている専用BGMの曲名は「改変完了…!」。やっぱり主人公は怜なのか……。
◆玄
改変により南は煌ではなく玄の元へ。この手を振り上げる動作に見覚えがあるので一期のセルフオマージュかと思ったんですが、ざっと洗っても見つかりませんでした。ただのツモ切りをここまで見せるからには何か意味があると思ったんですが……。
◆照
照が掴まされた七萬は玄の当たり牌。メンタンピンイーペーコードラ6、10飜倍満の三本場で16600点。あと一飜で三倍満……というのは置いといて、和了るのも一苦労の照に倍満をぶち当てたのはやはり快挙です。2年ぶり、ということは2年前にも何かあったということでしょうか。
恒子ちゃんが見せる一瞬の舌出しは咲日和1巻の「余計なこと」ネタですね。
そしてレジェンドツモではなくレジェンドロンだったとは……。それが大量失点してからの悪あがきだったのか、その一発ですこやんの逆鱗に触れたのかは分かりませんが 、灼ちゃんには悪いけどあんまり誇ることではない気がします。共闘せずにすこやんに一撃加えたってのは確かに凄いかも。
「自分の何かを捨てて賭けに出る」発言は8話の「賭けに出なきゃ化けることもできないか」とつながってますね。
アニメの終局時ではロンした玄以外みんな手牌を伏せていますが、コミックス4巻では倒れるときの描写で怜の手牌がそのままになっています(おかげで手牌の中身が分かってツモ牌が推測できました)。怜の体力のことを考えればコミックス版のほうが妥当な気がします(でも照も手牌そのままなんですよね……)。
本放送時には感動していたので特に気にしなかったんですが、やっぱり麻雀で倒れて運ばれるというシーンはちょっと笑ってしまう……。
問題の「仮病じゃなかったんだ」発言は置いといて。今まで病弱アピールしてきた怜が「仮病やから」と強がりを言うのもまた怜の成長の表れだと思います。最初の病弱アピールは、すっかり冷め切っていた2年夏の竜華との会話でした。
そしてラストはホール玄関前で和とまさかの再会。
憧は3年ぶりと言ってますが、コミックス3巻巻末の番外編で和は玄・ギバード達と一緒に一回憧のいる阿太峯まで行っています。
急な展開に慌てる憧を尻目に、決勝で会うことを約束して自信に満ちた顔持ちで去る穏乃はやっぱり主人公ですね。それにしても和もインタビューのコメントみたいな返答を……。
本放送時には何も思わなかったのにあとで見るとネタに見えるシーンその2。相手が相手ではあるけども、こんだけ点数削られてそんな誇られても……。
恒子ちゃんが机を叩く一瞬のシーン、左側に牌譜が見えますが拡大して名前を確認すると「花田煌」「山本美穂」に見えます。山本美穂というキャラクターはまだ出てきていませんが、煌の対戦相手ということは二回戦で敗退した高校の選手あたりでしょうか。